過日、日経新聞に掲載されていた、「復活-毎月分配型投資信託」(シニアを意識 分配型投信-隔月主流、適度に元本取り崩し 2018/10/13付き)を紹介したが、この復活に対する、山崎元氏の「毎月分配型の投資信託復活への警鐘」である。
個人の運用と年金運用、2つの決定的な違いとは?(トウシル 2018/11/13)のコラムである。
コラムの後半部分を紹介すると
「最近、関心を集めているトピックの一つが、資産の取り崩し方だ。一部の研究、あるいは高齢者向けをうたう運用商品で筆者が気になるのは、たとえば「3%」といったプラスの運用利回りがあることを見込んで資産取り崩しの方法(定額の取り崩し法もあるし、
「4%」といった定率で取り崩す方法もある)
を提唱する向きがあるが、これは大丈夫なのかという問題だ。一定のリスクを与えた時に、資産が枯渇するかしないかといったシュミレーションを行う研究などが目につく。
(省略)
たとえば、「3%」という利回りは「ほどほど」に見えるかも知れないが、これを個人が目指すのは容易ではない。現在機関投資家が内外の株式に想定している期待リターンは5%程度だ。3%の利回りを税引き後に得るためには、約3.7%のリターンが必要だが、債券利回りを0%とすると、株式の組み入れ率が75%必要だという計算になる。相当に大きなリスクを取らなければならない。加えて運用管理手数料が1%だとすると、
手数料・税金を差し引く前の利回りが4.75%必要になるので、株式の組み入れ率はなんと95%と計算される。
(省略)
なお、毎月分配型の投資信託に批判的だった森信親金融庁長官が交代したせいか、「老後の資産取り崩しには一定のニーズがある」という名目で、多分配型の投資信託(たとえば、公的年金が支給されない奇数月に分配されるような商品)の販売を大っぴらに復活させようとする動きがあるが、少なくとも投資家の側はこれに乗るべきではない。
と述べ、普通預金を活用する方法もあり、
「金融機関もお金のアドバイザーも、高齢者にはこのような方法をアドバイスすべきであって、高い費用の掛かる方法に誘導すべきではない。」
と締めくくっている。
毎月分配型の投資信託復活への痛烈な批判であり、利回り3%も投資信託では厳しい数字として主張している。この指摘によれば、利回り8%~10%を30年間も得るのは神業か??。