「超高齢化社会2.0」(著者:檜山敦)を読了
檜山敦「超高齢化社会2.0」平凡社 2017/7/14 初版第1刷
冒頭の「はじめに」でこの本の主旨がある。p.15
超高齢社会におけるシニアの社会参加と就労を支援するICTの姿をお見せします。
研究者らしく、「高齢者とICTの活用例」を現在進行形で記述している。
ただし、未来の高齢者の設定が、相当なハイササエティの様だ。
(第五章 未来に向けて
「現役時代は国内外の数社を渡り歩いて人事のエキスパートとして管理職まで昇進し、その傍ら、民間や公的機関の人事に関するコンサルティングや研修を副業として行ってきました。」 p.172
こんな設定あり?? 極一部の高齢者の例だろう。日本国内のサラリーマンの99.7%は中小企業らしい。(この数字の出所は不明)中小企業のサラリーマンが上記の仕事に従事していたとは考えにくい。従って、上記の条件を描く檜山敦氏の視点は、浮世離れか?道理で、ICTに関わる諸費用(通信費・機器購入代・メンテナンス)がほとんど記述されていない訳だ。
年金生活者が通信費として毎月5~8千円支出できる方がどれくらいるか?スマホの便利さが分かっても手が出ない高齢者が多いと推測する。
本では、事例集の如く、色々紹介している。抜粋すると、
「新老人の会」p.43 「メロウ俱楽部」p.46 「仙台シニアネットクラブ」p.50 佐藤正彦氏の「認知症になった私が伝えたいこと」(大月書店 2014年)p.52
「ココナラ」p.55 等等
でも、映画にもなった有名な、徳島県の上勝町「葉っぱビジネス」が全く紹介されていない。数年前の情報しか持ち合わせていないが、既に当時からタブレットで発注のやり取りを高齢者の皆さんがこなしていた。四国の田舎のじいちゃん・ばあちゃんが商売でタブレットを使っている。正に、ICTの生きた教材で、この成功例を研究の対象にすれば、未来の展望が開ける余地があると思うが…。
では、何故、一言も触れていないのか??
この「葉っぱ事業」は、既に出版されているため省略したのだろうか? あるいは科学技術振興機構の支援を受けるレベルに達していないのか?
はたまた、東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野の対象外だろうか?。
ともあれ、次に読みたい本は「学者は語れない儲かる里山資本テクニック」(横石 知二)である。
なお、参考文献リストには28本が計上されており、平田オリザ氏の「下り坂をそろそろと下る」講談社現代新書 2016年もその一つであるが、横石知二氏の著書は見当たらない。 p.199~203