書名に「初心者は…」とあるが、この本は初心者用ではない。ポートフォリオ(運用する資産の構成比のこと)の用語の説明はあっても、具体の記述はない。p.205、同時に具体の商品名の記述もなし。
また、冒頭の「はじめに」で株式投資では、7割の人が損していると言われています。投信でも、おそらく儲かっている人より損している人のほうが多いはずです。 p.4 おいおい、この本は投資を始める人への勧誘本ではないのか?? この記述の出典のエビデンスがなく、主観で終わっている。
と言うことで、投資信託の「積立投資・集中投資」についての概論的な本と言える。
ただ、他の本と比較して3点興味のある記述がある。
1、日経平均の安値・底値・高値・天井の閾値の記述 p.65~76(「②集中投資で利益をあげる方法」)
2、第4章日本の投資信託の問題点 p.151~p.172
3、重要用語集 p.204~p.219
日経平均の閾値は
①1万円-安値ライン
②1万5000 ← 中間点
③2万 ← 高値ライン
④2万5000 ← バブル地点
日経平均は2/9以降、下降していたが、ここ数日2万3000円前後まで浮上している。今朝のニュースでトランプ大統領が自動車税のMax25%・米朝会談の中止などが流れ、貿易・地政学的リスクなど不安材料が出てきた。著者によれば「高値ライン」を超えているので「株式相場が高値圏にあると判断したら、まとまった資金はとりあえず、貸金庫を無料まで利用していると自分に言い聞かせて、元本割れリスクのない預貯金に預けておくのがベストの選択です。」となり、集中投資はダメとなる。p.66
日本の投資信託の問題点では、世界との比較・証券会社・銀行・投資運用会社を記述している。では、個人はどこで購入すればいいのか、とのアドバイスは無し。
但し、p.58でネット証券大手(SBI証券・楽天証券)を勧めているが、僅か4行程度の文書量である。この辺は、ノーロード投信の数だけでなく、各種の諸経費(信託費用)と長期保持した場合の比較グラフがないと、初心者にはネット証券のメリットが理解しずらい。この程度の記述だと、対面投信を利用する高齢者が多くなる。
初心者対象には、グラフ等を多用し視覚に訴えないと、文字だけでは理解不足となる。
ということで、表紙にイラストがあったので、初心者にわかり易い本と予想して、手に取ったが購入してまで読む本ではない。例によって図書館を利用した。