塚崎公義 (東洋経済新報社 H27/11/15出版)
図書館で借りて読んでみた。
老後の生活の仕方について幾つかプランニングが記載されている。
まず、住居は、賃貸はダメで是非、持ち家に住むように書いている。
住宅は空き家の増加、供給過剰で家賃も安くなるとの指摘もあるが、その点は触れていない。とにかく、終の棲家を購入すべしとのことである。根拠は、20年分の家賃で家が購入できるとのこと。確かにAさん(日経新聞 H28/5/25)の家賃は10万円だったので、2400万円(10万×12ヶ月×20年)となる。
さて、そのシナリオは(一般庶民) p.138
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1、定年退職した60歳から65歳までの5年間は、再雇用で生活費を稼ぐ(金融資産の切り崩しはなし)
2、65歳から70歳まで蓄えから捻出して暮らす。65歳の金融資産は2100万円が条件
★1ヶ月の生活費は25万円、5年間で1500万円、残高は、600万円
★残高が300万円まで使ったら、即年金を申請する。
3、70歳から年金暮らし(年金は繰り下げで、65歳より43%増)
★この600万円を株式・外貨・物価変動国債で運用する。
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このプランだと、当方も何とかなりそう。
でも、
問題点として、
1、高齢者の1ヶ月の生活費は、27万円との指摘が多い(日経新聞等)。筆者とは2万円の差が生じる。27万円だと、合計1620万となり、残高は、480万円となる。
2、自宅の修繕やリフォーム・車の購入費等が計上されていない。480万円で賄えるか。
3、70歳からの年金の金額が明記されていない。年金だけで生活可能か。
4、金融資産を2100万円に設定しているが、例の常陽銀行では、60から69歳までが1,399万円で一番多い層となる。筆者も認めている中央値より700万も高い2100万円以上の保有者は29.1%が該当し、残りの70%の人はどうしたらいい?
5、この時点で7割の方は、金融資産がマイナスとなり、老後破算に陥ることになる。
どうやら、現実とかけ離れた数値のプランとなっている。といいうことで、大分部の方にとって、「こんな老後の生活もあるのか」という程度の本となっている。
次のシナリオは、資産に余裕のある例を書いている。p.150
資産はなんと、80000万円。これは、例の年代別貯蓄の金額からして、超一部の資産家の例となる。1%もいない富裕層を想定しての説明を書き表す筆者の意図が理解できない。この本の購買層の対象をどこの層に置いているのだろう。
こうなってくると、一般庶民のシュミレーションも実態に合わない精査のない、適当な記述か。大学の先生の机上論の本だろうか。購入するには値しない本だった。
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