書店で目に付いた本である。
「東京五輪後の日本経済」白井さゆり 小学館 H29年9月18日 初版。著者は、元日銀審議委員で日本経済・景気について多方面から記述している。アマゾンの書評は1本しかなかったが、当方は大変興味深く読んだ。
タイトルの内容は「第5章」にあり、それまで「第1章」から「第4章」までは、アベノミクスから日本の株価について、更には「世界経済のゆくへ(第4章)」の記述となっている。
外国人投資家の時価総額に占める割合が30%前後となり、3ヶ月先の収益を重要視する短期収益を目指す外国人投資家と2%インフレの日銀方針の違いを危惧している。(日銀の弁護??)
日本の株式は、管制株と言われているが、日銀のETFの購入目的や既に大量に購入している量(額)の減少や売りの困難さについて、素人用にわかり易く記述している。
さて、本論の「第5章」であるが、日銀の金融政策の出口は、「異次元緩和」だけに「出口が見えない」と結論づけている。著者は、世界のどの中央銀行もしなかった金融政策を日銀は実施した。そのため、以下の負債の解決方法もその後の影響も予想できない。とのこと。著者の経歴からして、チョット適当な記述??。それなりの予想はできないものだろうか。
1、大量の国債の買入は限界に達している。
2、リスク資産(ETF等)も 〃 。
処分した場合のリスクも多方面から述べており、未来が見えないとのこと。
じゃあ、個人へのアドバイスは、
1、「自ら判断できる」国民へ脱皮せよ。
この理由が、「政府関係者や金融政策担当者が、必ずしも正しい政策を行っているとは限らない」p.244 この指摘には笑ってしまった。責任逃れ、あるいはプライドがない表れ?、税金泥棒は即退職せよ!。後釜は多数いる。
2、「自助努力」を始めよう。
「今後は国民一人ひとりが預金や現金だけに頼るのではなく、リスクをとって積極的な資産運用をしていくことです。そのひとつが、外国通貨や外国通貨建て資産への積極的な投資」 p.246 経済のプロ中のプロが日本株投資を止めろと主張している。日本経済は本当にダメになるようだ。
あとがきで「『東京五輪後』」の日本経済は、これまでの人類が経験したことのない、未知の世界へと突入していきます。」 p.253
読了後、投資するほどの余裕資金がなく、年金に頼るしかない、下流老人予備軍は、一体どうすればいいの??不安だけが増長した貴重な本となった。